新しいコミュニティが見えてきた

【安佐南区東原】
“そのひとときをドリップする”
DAY DRIP
山本裕也さん・芳さんご夫妻 


今回お話を聞いた“まちの守り人”、山本さんと待ち合わせしたのは桜が満開を迎えた川土手の小さな公園。春の陽気に包まれた午前11時、ジョギングする人やベビーカーで散歩する親子が行き交う中、アースカラーの折りたたみ自転車1台と木製の小さな看板。

素敵なご家族が迎えてくれたのは、移動カフェ「DAY DRIP」だ。

看板には「DAY DRIP」。
ショップカードに「DAY DREAM×DAY TRIP=DAY DRIP」の文字。
コーヒーを淹れるひとときは小旅行の微睡のような時間、ということかも。




─ ちょっとした勘違いがくすの木保育園との出会い。

<当時のスタッフ談>

「2019年の秋、近くの公園を園児と朝のお散歩中、自転車移動カフェを発見。お洒落な青空コーヒーショップと勘違いし、お昼休みに買いに行ったのが最初の出会い。

コーヒーは販売じゃなく『ふるまってる』と聞いてビックリ!

でもその時すでにコーヒーはなくなっていてガッカリ!

ところが午後に新しく淹れたコーヒーを園まで届けてくれて感激!

もう運命的な出会いと思い、その場で園の秋のイベント「ロハスフェスタ」への参加をお願いしていました。

イベントは卒園児や保護者も来てくれて大賑わい、庭のデッキでふるまっていただいたコーヒーも大変好評でした」




新鮮な淹れたてコーヒーをいただいていると元気に遊んでいた園児たちも集まってきた。


紙コップの文字と数字は手作りスタンプだとか。数字は今日の日付、“特別な”何気ない日常。




東京で暮らしていた山本夫妻はお互い広島県の出身。東日本大震災の翌年に長女が生まれ、家族の在り方をあらためて深く考え帰郷を決断し2014年から広島市に。翌々年には次女も生まれた。

転入者が多い地域性なのか、みんなウェルカムなで風通しが良さを感じた。


一方で、公園デビューやママ友など最初に勇気が必要で、ずっと一緒が苦手な人もいる。

ならば、もう少しハードルが低くゆるやかな間柄はできないかと考えていた矢先、一冊の本に出会う。

『マイパブリックとグランドレベル ─今日からはじめるまちづくり』田中元子著 晶文社


グランドレベル(=1階、地面)が活性化するとまちは面白く元気になるという建築家たちの活動と報告の書がビビビッと共鳴したのだとか。

そして始めたのが「ふるまいコーヒー」だった。


「コーヒーって、みんな知ってる身近なものだからきっかけにになりやすく、飲めば自然と会話ができて知り合いになれるんです」と山本夫妻、もともと好きが高じて自家焙煎にたどり着いたそうで、コーヒーへの愛着は半端なく深い。それだけでなく音楽や子供のことなど話題も豊富だ。


公園にふらっと来た母親がコーヒーを飲んで本当にほっとしたように一息ついてくれた。初めて会う方同士で会話が弾んだり、パンを持ってきて分けてくれる人も。子ども連れに限らず公園でたくさんの人と出会った。

こうして始まった、ふるまいコーヒー「DAY DRIP」は自然でゆるやかなコミュニティを作り出した。


いつも持ち歩いている大切な書籍を見せてくれた。


桜の木の下でハーモニカを練習していた男性とコーヒー談義。
聞けばYouTubeでも演奏を披露しているとか。人って知れば面白い。




山本さんは、家族を中心とした小さなコモン(共同体)が大事ではないかと話す。

今いるこの町で、手の届く半径20mから居心地のいい場所をつくることを始めたい、と。


やりたいことを大好きなコーヒーをツールにして本気で遊ぶようにやりたい、それが子どもにとってもプラスになるはず。

楽しそうに前向きに夢を語る山本さん家族を見ると、ネットなどでシニカルに見る傾向があるこの社会で、大袈裟でなく新しい時代はこういうところから始まるんだなと思った。

夢はあったほうがいい。




<追記>

Instagramのプロフィールには、DAY DRIP since2013、広島の川沿いや公園にきまぐれに出没します。だいたい夫婦で、気が向いたらソロで活動。
アカウントはdaydrip2013、お洒落な写真も必見。 

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